本気でマウンテンバイクライフを満喫したい方、必見。今回は「マウンテンバイクを購入したらしっかりとセッティングしておきたいこと」をご紹介したいと思います。具体的には以下の3項目についての基礎的なことを掘り下げます。
セッティングの違いがどうライディングに影響してくるのか、なるべく具体的にご紹介しようと書き出したら、かなり長い記事になってしまいましたが、どれもこれもちょっとの違いが大きくライドに影響することばかり。ぜひブックマークをして、何回かに分けてご自身のセッティングをいじりながら読み進めていただけたら幸いです。
バイクと身体の接点
(ポジション)の
セッティング
MTBとカラダの接点のセッティング
- サドルのセッティングの基本的な考え方
- サドルの高さ
- サドルの前後位置
- サドルの角度
- ブレーキレバーのセッティングの基本的な考え方
- ブレーキレバーの角度
- ブレーキレバーのリーチ
- ブレーキレバーの取り付け位置
- フラットペダル選びも重要なセッティングと心得よ
- フラットペダルとシューズの相性がキモ
- フラットペダル選びはここに注目
マウンテンバイクのサドルセッティングの基本
サドルは、高さ、前後位置、角度を調整できます。それぞれを自分の身体やライディングスタイル、コースに合わせてセッティングすることで、よりライディングが充実したものになります。
サドルの高さ
どんな自転車でもまずはサドルの高さが最重要項目ですが、車体の上で上下前後左右に身体を動かすマウンテンバイクライディングならではの基本的な考え方をご紹介します。
シッティングでのペダリングセクションが多いなら…
マウンテンバイクをロードバイクやクロスバイクと同じように、車でも走行できるような舗装路や林道などを走行する場合、シッティング中心でライドすることになると思います。そのような場合であれば、サドルハイトはロードやクロスと同様のペダリング重視セッティングで全く問題はありません。詳しくはこちらのブログ記事でご紹介しています。
登りや平地もありつつも車が走行できないような荒れた路面でのライドを楽しむのであれば、サドルに座りペダリングするポジションを重視しつつも、サドルから腰を浮かせペダルに立ち、肘や膝でショックを吸収したり、重心を後方に移動したりなどの動作をしやすくするために、ロードバイクよりもあえてサドルを1cmくらい下げた状態にセッティングする人も割と多くいます(ドロッパーが主流の今、過去形で表現した方が良さそうな気もします)。急峻な登坂で瞬間的なペダリングパワーを出すのにも効果があります。
トレイルやパークなどで下りを楽しむのなら…

ダウンヒル系のパークや下り系のトレイルライドを楽しんだり、下りの走りやすさや楽しさを重視したいのであれば、サドルに着座してのペダリング効率はほとんど意識する必要はありません。1cmどころではなく、サドルに腰をかけた状態でベタ足がつくくらいまで下げるのもポジションとしてはおすすめです。その方がショックアブソーバーとしての身体の可動域が圧倒的に増加するので、より激しい路面に対応できるようになります。
また、刻々と変化する下りの勾配や速度に遅れることなく真ん中に重心を置いておける上に、ターン時に膝を進行方向に向け、お尻をコーナー外側に向けたりなど横方向の動作も格段に行いやすくなり、バイクコントロールを思いっきり楽しめるようになります。
ベタ下げだけでなく、内腿(膝)でサドルを抑え込んだりできる高さも意識しておくとさらに良いでしょう。
ただ人間というのはわがままなもので…
様々なパークや登りくだりが複雑に繰り返すトレイルでライドを経験していくと、シッティング時のペダリングポジションも重視したいし、水平にしたペダルに立ち上がってバイクコントロールをしなければならないシチュエーションでのアグレッシブな操作性も重視したくなるものです。登りのペダリングも下りのバイクコントロールも両方効率を求めたい!とね。しかも実際のところはベタ下げかマックス上げかの2択ではなく、その間のさまざまな高さが使えるとさらに便利よねと…。そこでおすすめしたいのがドロッパーポスト!!
ドロッパーは手元レバーでサドルの上げ下げがワンタッチで瞬時に可能になる優れもの
ドロッパーシートポストは、手元レバーでサドルの上げ下げがワンタッチで瞬時に可能になる優れものです。中でも電動タイプの手元レバーの操作感(レバーというよりスイッチ!)と反応の確かさは抜群です。ミドルグレード以上なら標準で装備されているモデルも増えていますが、トレイルライドを本格的に楽しむのなら真っ先にアップグレードしたいパーツです。クロスカントリー系レースでも大きな岩がゴロゴロした下りなど観戦の見どころとなる激しめのセクションも増えつつあるので、今やXCシーンでもドロッパーポストがあたり前になっています。
ドロッパーシートポストについてはこちら↓のブログがおすすめです。
サドルの前後位置

マウンテンバイクの場合、サドルの上で1箇所にじっととどまっていることはほとんどありませんので、あまりシビアに考える必要のある項目ではありませんが、前後位置も調整可能です。サドルを前方に調整するとダウンヒル時や急ブレーキ時にお尻を後方に引く動作が格段にやりやすくなります。
サドルを後方にセッティングするとハンドルまでのリーチが若干伸びたようなポジションになります。また、サドルを後方にセッティングすると、急峻なアップヒル時に後輪に荷重が掛かるようになるため後輪にトラクションをかけやすくなります。ただし、ヘッド角が立っている上にショートストロークのフロントサスペンションを搭載した本格XCマシンでは、ホイールも軽量なため前輪が浮きやすくな流ので注意が必要です。
急峻なアップヒルで、前輪を浮かさずに前後の荷重バランスをいかにとるか…。後輪を滑らせずにいかにペダリングをするか…。これらも、マウンテンバイクライドの面白さ・難しさの1つです。アップヒルで前輪が浮きやすい場合は、胸を張って胸をハンドルに近づけて足元ではなく少し遠くを見ながら顔をハンドルの前に出す?ようなイメージで、足は踏むのではなく回すつもりでこいでみると上手に登れたりするかと思いますが、サドルを少し前下がりにセットしてみるのも隠れ技の1つです。
サドルの角度
サドルの角度は水平が基本セッティングになりますが、意図的に角度をつけてセッティングする場合も多々あります。
前上がりにすると…

サドルを前上がりにすると、ダウンヒル時にお尻を後方に引きやすくなるだけでなく、シッティングで下っている最中も前につんのめりにくくなります。ゲレンデダウンヒルなど、下りしか走らないような日にはおすすめのセッティングです。ダウンヒルのプロ選手のバイクはみんなこの写真のように前が上がった状態でセットされています。
前下がりにすると…

サドルをほんの少しだけでも前下がりにすると、ハンドルにもたれかかるというか、つっかえるというか、ハンドルを斜め前下に押し当てるような力を加えやすくなるので、急峻な登りで不思議と前輪が浮きにくくなります。のぼりの攻略が勝敗を分けるような場合や、どうしてもクリアしてみたい急峻なのぼりがある場合は、ちょっと試してみては?
ただ、長時間のマウンテンバイクサイクリングとなると、前上がりは、お股の軟部組織をピンポイントで攻撃するカタチになりますし、前下がりだと手のひらに過度な負担がかかりますので、極端なセッティングはおすすめしません。
いずれにしても、サドルの角度調整はすぐにできる作業なので、ライディングの途中で少しいじって違いを楽しんでみてはいかがでしょうか。
マウンテンバイクのブレーキレバーのセッティングの基本
ロードバイクのフィッティングでは、身体とペダル、サドル、ハンドルの3つの接点の位置関係を自分自身の身体に最適化することで、ほぼ同じ姿勢で長時間サドルに座り続け、長距離ペダリングし続けられるようにします。いわば静的なライディング向けのセッティングとでも言いましょうか。一方マウンテンバイクの場合は、動的なライディング向けのセッティングになってきます。腰を浮かしながら、身体を前後左右、上下に大きく動かしながらでないと走れないような激しい悪路を走行するマウンテンバイクライドでは、ハンドル、ペダルの2つの接点の状態が安全なバイクコントロールにとっても影響するのです。
中でも、ハンドルを握る手は路面状況やバイクの挙動を正確に把握し、乗り手の意図を正確にバイクに反映させるための重要な役割を担っているわけです。そういう意味ではハンドルの幅や角度などのポジションだけでなく、グリップとレバー類の間隔、そして角度のセッティングやレバーのリーチも重視すべきセッティングと言えるでしょう。
ハンドル幅のセッティングについてはこちら↓のブログで詳細にご紹介しています。
ここでは、レバーの角度、リーチ、グリップとの間隔について詳しくみていきましょう。
レバーの角度
ブレーキレバーの角度のセッティングは、「手首に負担のない角度」にセッティングするという考えが基本中の基本となります。手の甲が著しく進行方向を向いたり、逆に激しく顔の方を向いたりしないような位置です。初心者の方はまずはニュートラルなポジションでペダリングをしているときに、ハンドルを握った手首が自然な角度、負担のない角度にセッティングしましょう。手首、肘、肩の可動域を大きく確保できます。
ずっとこのセッティングでも間違いではないですが、マウンテンバイクライドを重ねていく中で、もっとこうしてみようなどという考えが浮かんできたりしたら、それを試してみたりするのが良いでしょう。レバー類はすぐに微調整ができるのでライドの最中にいじってみてもいいかもしれません。
マウンテンバイクを購入してから、富士見パノラマやスマイルバイクパークなどのパークライド、里山トレイルライドに出かけると、そもそもどの姿勢がニュートラルなのかきっと迷宮入りすることでしょう。サドルのセッティングの時にもお話した通りバイクの上で立ち上がって様々な姿勢をとるマウンテンバイクの場合、どのポジション取りがニュートラルなポジションなのか、どの上体角が自然なのかどうかは、走るコースや速度、ライド時に何を重視するか、さらには重心の好みが後ろ乗り気味なのか前乗り気味なのか…などによっても変わってくるものなんです。
…ではどーするか?
好みに合わせて微調整を繰り返し最適解を見つけるしかない!

オンロードや林道などサドルにシッティングしてペダリングすることがメインになるライドでは、漕ぎやすいサドルの高さでのシッティングポジションで、手首が自然になるようにセッティングするのが良いでしょう。初めてのマウンテンバイクならば最初はこのセッティングからスタートするので構いません。
水平に近いセッティング
高速で走り抜ける下り系のパークや、重心を後ろ気味で乗るのが得意な方や、激しい下りが楽しいトレイルなどでは、下の写真のようにレバーを浅めに起こす(地面に対して水平方向にあげる)セッティングを試してみましょう。

その方が、伏せた上体でバイク後方から腕を伸ばしハンドルを握っているときに、腕と手を自然な角度にできるのです。また、親指と人左指のV字部分でハンドルをしっかりと押し引っ掛けておくことができるので、ハンドルを前方に押し出しやすくなったり、前方に吹っ飛ばされにくくなったり、ハンドルから手がすっぽ抜けにくくなったりもします。
垂直に近いセッティング
重心が前乗り気味の乗り方が好きな方は、次の写真のようにレバーを少し下げて(地面に対して立ち気味に)する方が良いでしょう。低速でスタンディングの練習をしたりする場合は立ち位置も前よりになり上体も起きた姿勢になるので、レバーは立ち気味の方が圧倒的に操作しやすいです。

ただ、この写真がまさにそうなのですが、サドル後方からハンドルを握るような姿勢の場合は逆に、手首に負担がかかりやすいのでやめた方がいいでしょう。手首に大きな負担がかかるだけでなく、肘や腕の可動域が制限されるため体全体を使いにくくなります。また、ハンドルの抑えが効きにくくなるので、重心がついつい前に移動しすぎてしまったり、急な下りのドロップオフなどで前に吹っ飛びやすくなったりもします。
いずれにしても、ライディングを楽しみながら微調整を繰り返し、自分のライドにピッタリのセッティングを見つけることを楽しむのがよいでしょう。ハンドル幅とステム長も含めて考える必要はありますが、レバーの角度をちょっといじるだけで手首の負担が減り、腕だけでなく身体全体の可動域が格段に広がり、バイクをより制御しやすくなるのがお分かりいただけると思います。
レバーのリーチ
人差し指一本だけでも確実に制動できる油圧ディスクブレーキレバーのほとんどに、ハンドルグリップからレバーまでの感覚(リーチという)を調整できるような機構がついています。ブレーキレバーのリーチセッティングはどのようにするのがよいのか早速みていきましょう。
好みによるところが大きいがNGセッティングは明確
指先しか触れないほど遠すぎるセッティングや、レバーを握った時にグリップを握っている他の指を潰してしまうくらい近づけてしまうのはNGです。フルブレーキをかけた時にレバーがグリップにコンタクトしてしまう状態も絶対に避けましょう。
ギリギリセーフ?にも見えるけど遠すぎるのはNG

リーチが近くて中指に干渉してしまうのもNG

リーチが近すぎて握るとグリップに当たってしまうのもNG

どの程度のリーチで微細な制動コントロールがしやすいのかは実際のところ個人差や好みによるものが大きいです。例えば、電車のつり革を握るときに指先で握るのが疲れにくいか、指の付け根側でガッツリと握るのが疲れにくいのか、ショッピングバッグを指先にかけて持つのが好きなのか、しっかりと握って持つのが好きなのか、ゴルフのグリップを小指側から斜めに握るのが好きなのか、と同じと言えるかもしれません。
また、硬いものを包丁で切る時にガッツリと握り、あまり硬くないものを細かく繊細に切る時は斜めにソフトに握ったりするような感覚と同じで、ハンドルから伝わってくる衝撃の大きさや速度域によってもグリップの握り方や握る場所が変わったりもします。
いずれにしても、ライドを繰り返しながら好みのセッティングを見つけていくしかありません。しっかりと時間をかけて好みのリーチセッティングを見つけましょう。
パッドコンタクト位置に変化が出ない油圧ディスクは最高
ワイヤー引きのVブレーキ時代には、フルブレーキをかけた時のフレームのたわみや、長い下りで徐々に減っていくのがわかるブレーキシューのすり減りなどにより、レバーを握った時のパッドコンタクト位置がどんどんと深くなってきてしまうため、リーチを普通もしくは遠目にセッティングする方が好まれましたが、遠いレバーをずーっと握り続けると、握っている指も含めて手そのものが疲れやすい傾向にあったように思います。指一本で制動できる油圧ディスクブレーキ、パッドがすり減ってもパッドコンタクト位置が変わらない油圧ディスクブレーキ、やっぱり最高ですね。
レバーとグリップとの取り付け間隔
リーチと同様に重要なのがグリップからどれだけ内側にブレーキレバーをセッティングするか?です。最近の油圧ディスクブレーキレバーのほとんどが、人差し指一本で操作するような設計になっているため、レバーを握った時に他の指に干渉しない位置にセッティングできるようになりました。なので、グリップからどれだけハンドルの内側にレバーを固定するのかが、重要なセッティング項目になっています。
ナイスなセッティング

下の写真のセッティングではレバーのテコも活かしきれないし、他の指に干渉してしまいます。このようなセッティングはやめた方がよいでしょう。
NGセッティング

またレバー位置は、ハンドルグリップのどのあたりを握るのが好みなのか、によっても変わってきますので、こちらもやはり気にしながら乗り込むと良いでしょう。私はグリップの外端に小指が乗るくらいの位置で握るのがなんとなく好きです。グリップの真ん中辺を握っているのか、それとも外側気味なのか、最初のうちはその辺も気にしながらマウンテンバイクライドに出かけると良いでしょう。
ただ、モデルによってはワンフィンガーで操作できるようにレバー位置を決めると、シフターに指が届かなくなってしまうというモノも存在します。その場合は正直あまりいいセッティングはできないので、思い切ってパーツをアップグレードするのがよいでしょう。
私は、ブレーキレバーとシフトレバー、ドロッパーのレバーのタッチや位置関係にちょっと神経質かもしれません。たまにしか本格トレイルに出かけられないのに、その最中にブレーキングやシフティングに煩わしさを感じていてはせっかくのトレイルラを全然楽しめないので、全部SRAM EAGLE AXS(ワイヤレス電動変速)化しています。バイクコントロールのしやすさへの投資はプライスレスです。
フラットペダル選びはマウンテンバイクライドの質を劇的に変える

きっとほとんどの初心者マウンテンバイカーが、ビンディングペダルではなくフラットペダルにするだろうと思いますので、今回はフラットペダルとシューズの相性の重要性についてご説明したいと思います。どんなフラットペダルを購入するか?は、実は思いっきりライドに影響しするのです。「フラットペダル選びは重要なバイクセッティングの1つ」と考え、向き合うべきです。
フラットペダルとシューズの相性がライディングを左右する!
実は、初心者マウンテンバイカーのほとんどの方が重視していないけれども、握る部分のセッティングと同じくらいマウンテンバイクに乗る上で重要なことがあります。それが、バイクと身体のもう1つの接点である足、フラットペダルとシューズの相性です。きっと、標準でついてくるペダルに、すでに持っているスニーカーやランニングシューズ、トレッキングシューズ等で問題なしと思っている方も大勢いらっしゃることでしょう。でも、それで楽しめるのはせいぜいオンロードのポタリング程度まで。フラットペダルとシューズの相性で、オフロードでのバイクコントロール、楽しさ、安全性が大きく違ってくるのです。
プロライダーにも存在するフラットペダル派
下り系のプロライダーの中にはビンディングペダルではなくフラットペダルを使用している選手も多くいます。そういった憧れの選手たちが開発に参加しているフラットペダルもありますので、そういうペダルであれば間違いないのではないでしょうか? 兎にも角にも、マウンテンバイクを機材ストレスなく楽しみたいのであれば、フラットペダルはかなり拘るべきアイテムです。
ソールの食い付きがとても重要!!
フラットペダルとシューズの相性を重視しなければならない理由としてあげられるのは、ペダルとシューズを介して駆動力を伝達する接点だからということよりも、サドルから腰を浮かし体全体をショックアブソーバーのように機能させながら、両足で否応なしに迫ってくる振動や衝撃に耐えなければならないという理由に加え、足をバイクに押し付けて、ブレーキング時やコーナリング時のバイクの挙動やトラクションをコントロールしなければならないためです。
腰をサドルから浮かせたまんま、バイクをコントロールしたいのにペダルから足が脱落してしまってはもはや手しかバイクと接していないことになり大変危険です。片足をペダルから離すことはライディングスタイルによっては頻繁に行ったりする場合もありますが、両足を外すことはありません、その時点でアンコントローラブル、落車寸前です。当然すぐにサドルに腰掛けることにはなりますが、ペダルから足が離れた状態でサドルに腰掛けて走行すると、お尻と腰で衝撃や振動を吸収しなければなりません。これ、骨格上なかなか至難の技です。すぐにペダルに足を戻しスタンディングの姿勢に入らないと、サドルから跳ねあげられて吹っ飛ぶのがオチです。
フラットペダルとシューズの相性が抜群だと、どんな悪路でもバイクが一体化して足から離れる気がしないくらい安定して踏んで(立って)いられます。ペダリング時だけでなく、ブレーキング時、コーナリング時、ちょっとだけジャンプするような時にも安心してバイクコントロールに集中できます。ペダル選びを軽視してはならんのです。
相性が悪いと…
ペダルとシューズの相性が最悪だと、しっかりペダリングしなければならないような上り坂で足がペダルの上で滑ってしまいます。するとペダルを踏む位置が安定しなくなります。少しずれるだけで力のかかり方は変わってしまいますし、滑ってしまうのが怖くなり、安心して強く踏み込むことができなくなります。また、相性が悪いと、腰を浮かせて必死にバイクをコントロールしている時に、急にペダルの上で足が滑って踏み外したりして、ホント乗れている気がしないから残念です。
最悪な相性のものは、玄関先でちょっと乗るだけでわかります。なので、いますぐライドに出かける予定ならばすぐに別のシューズでもう一度試し乗りをしてみた方が良いでしょう。完成車に標準装備されているピンがないプラスチック系のペダルは、ソールがとっても柔らかくて平らなシューズならなんとか林道サイクリング程度なら楽しむことができます。ゴツゴツした硬めのソールがついたトレッキングシューズのようなタイプですと、すぐに滑りそうですし、ペダリング時に足の位置が安定しそうにないのでかなり不安です。
パークライドやトレイルライドに挑戦するのであれば、ピンがしっかりしたフラットペダルに付け替えることで随分と改善されます。まずはペダルだけでも本格仕様のタイプに交換しておくようにしましょう。また、登山道的なトレイルに行くからと言ってトレッキングシューズで行くのはあまりおすすめはしません。その靴で歩く頻度よりも、ペダルに足を乗っけている時間の方が多いからです。トレッキングシューズの役割はタイヤにさせましょう。フラットペダル用のMTBシューズもクランクブラザーズ(私も愛用しています)やGIROなどから発売されていますので、そちらがおすすめです。


いざライドに出かけたときに、相性の悪さを目の当たりにするとそれだけでテンションが下がりまったくライドを楽しめません。マウンテンバイクライディングをフラットペダルで楽しみたいのであれば、標準で装備されているような心許ないペダルではなく、別売りの格段にマシなフラットペダル、それに専用のシューズも購入するのがおすすめです。
どんなフラットペダルがいいのか?
まずはピンの長さに注目

ペダル表面に金属製のピンをねじ込んであるフラットペダルが絶対条件です。金属製でも一体で形作られているようなタイプはピンが心許ないし、滑りやすい塗装で覆われているので、あまりおすすめしません。また、ピンの長さを調整できるタイプもありますし、モデルによってピンの本数やついている場所も違ったりしますので、そこら辺も吟味しつつ選ぶと良いでしょう。トレイルやダウンヒルパークでのライドを思いっきり楽しみたいのであれば、長めのピンが食いつきがよく安心です。
ただ、踏み外してピンがスネに刺さったりして痛い思いをすることもありますので、地肌剥き出しは避けたり、プロテクターの着用をおすすめします。軽量で体の動きにフィットするペダリング重視のタイプから、かなり安心感のある保護性能を重視したタイプのものまで色々あります。お気軽にご相談ください。
ピンの他にフラットペダル選びで重要なことに、ペダル軸から踏み面までの距離、踏み面の大きさ、踏み面の湾曲具合があります。
ペダル軸中心から踏み面までの距離もかなり大事

踏み面の面積が同じなら、ペダル軸から踏み面の距離が近い方がダイレクトに立てるので、コントロール性が高いと言えます。軸から踏み面が遠いと、竹馬や下駄で立っているようなイメージになり、安定感が劣ります。リアホイールリフトは踏み面が軸に近い方がやりやすい印象がありますし、急ブレーキで前方から靴底が見えるくらい踏ん張る動作も軸に近い方が安定します。トレイルやパークでのライドをお考えであれば、最初から踏み面がペダル軸に近いペダルを選びましょう。
スポーツ自転車の経験が浅くペダル軸を踏むという感覚がピンとこない方の場合は、薄いペダルだけれどもあえてペダル軸部分が盛り上がっているタイプのペダルを使うのもおすすめです。特にソールが柔らかめのスニーカーで乗車する場合は、ピンにしっかりと食いつく上に、ペダル軸と足裏のペダル軸を踏むべき場所をライド中に足裏から意識できるのがメリットです。逆に、ソールが硬めのフラットペダル用MTBシューズでこのペダルを使用すると、ペダル軸にしか立っていない感覚になります。普段使いにマウンテンバイクを利用することが多いのであれば、この手のペダルを使って、軸をペダリングすること、軸に立つことの感覚を養っていくとよいでしょう。
色使いも人気の理由ですが、軸を認識しやすいペダルとして普段スニーカーでライドするようなスポーツバイク初心者には特におすすめです。
踏み面のアールは好みで選べばいい
ペダル軸を踏む、ペダル軸に立つ、という感覚がわかるようならば、軸部分が盛り上がっていないフラットなタイプ、もしくはペダル前後から軸に向かってなだらかに低くなっているタイプがおすすめです。その緩やかなカーブのおかげでペダルのどこを踏んでいるのかわかりますし、ちょうどいい位置を踏んでいる時は踏み面の上で足位置がいい塩梅にハマっている感覚がわかります。その時は非常にバイクに乗れている感覚になります。
踏み面の大きさに注目
踏み面の広さもバイクコントロールに影響します。足が大きい場合は広めのペダルが良いでしょう。ただ、最近のマウンテンバイクはBBが低めに設計されているのが多いので、ペダルが大きくなればなっただけ、車体を倒し込んだ時に路面に引っ掛ける確率は上がります。ハイエンドフラットペダルは地面に擦りにくいように前方下側を斜めにカットしたデザインを採用しているものがほとんどですが、踏み面が大きい分、シングルトラックではトレイルサイドに出ている木の根や岩などにヒットしやすくもなりますので、一概に広いものが良いとは言い切れません。
私は足が大きめなんですが、ツーリング的な用途でマウンテンバイクを使うのであれば広め、整備されたパークでのライドが中心ならばまあ広めでもいいかな、トレイルでのライドが中心ならば大きくない普通の、という感覚で私はイメージしています。クランクブラザーズのスタンプシリーズは2サイズ展開があるので踏み面の大きなペダルをお探しの方にはおすすめです。
前後サスペンションの
セッティング
サスペンションのセッティング
- サスペンションの3つの役割
- エアサスペンションのセッティングの基本
- サグ調整とは?
- サグの量の目安
- サグの調整方法
- ダンパーとは?
- リバウンドダンパーの役割
- リバウンドダンパーが強すぎると?
- リバウンドダンパーが弱すぎると?
- リバウンドダンパーの適切なセッティングは?
- コンプレッションダンパーの役割
サスペンションセッティング
いきなりサスペンションの基本的なセッティングの紹介に入る前に、そもそもサスペンションてなんのためについてるの?という素朴な疑問をまずはクリアにしておきましょう。その後で基本セッティングについてご紹介したいと思いますが、ミドルグレードから標準で装備されることの多いエアサスに絞ってご紹介します。…と言うことでまずはサスペンションの役割について。
サスペンションの役割ってそもそもなに?
サスペンションには大きく3つの役割があります。
- ライダーに伝わる路面からの衝撃や振動を和らげ疲れにくくするため
- 路面の凹凸に弾かれてタイヤ(自転車)が宙に浮いてしまうのを避けるため
- 自転車がバタつくのを抑え視線を安定させるため
1つ目「ライダーに伝わる路面からの衝撃や振動を和らげ疲れにくくする」について
マウンテンバイク向きのコースでは路面の凹凸や木の根、岩肌で、大小様々な衝撃と振動がタイヤからハンドルとペダル、サドルを通じて体に伝わってきます。舗装路や整地された道路しか走ったことのない方からしたら全く想像もつかないほどの衝撃と振動です。サスペンションがその衝撃と振動を減衰してくれるので、変に力んだり、オーバーに体全体を使って振動を吸収させる必要がないのでとってもラクなんです。
2つ目「路面の凹凸に弾かれてタイヤ(自転車)が宙に浮いてしまうのを避ける」について
サスペンションのないマウンテンバイクで、ある程度の速度で走行していると木の根や岩肌の激しい凹凸にタイヤが弾かれてタイヤ(車体)が宙に浮いてしまいます。ライド中にゴムボールのように路面の凹凸に呼応する形でタイヤが弾むのを繰り返してしまうと自転車の上でどんな操作をしようが何も反映されません。
タイヤが接地していないと、ビビって減速しようにもブレーキが効かない。パニックになりブレーキをロックさせタイヤの転がりを止めてしまうとさらに弾んでしまう。タイヤが接地していないとハンドルを操作して曲がることもできない。曲がろうと思って車体を傾けても弾みながらコーナー外側に流されていくだけ。タイヤが接地していないと、漕いで加速することもできない…。
タイヤが宙に浮いてしまうということはつまり、アンコントローラブルな危機的状態ということです。ロードバイクで普通にサイクリングしていると全く気にすることはありませんが、ロードバイクでもタイヤがグリップを失い滑ってしまう(浮いてしまう)とヤバイですよね。タイヤを地面にしっかりとくっつけておくことは、とても重要なことなんです。悪路で自転車を思い通りにコントロールしライドを楽しむには、サスペンションを機能させしっかりとタイヤを地面に接地させておかなければならないんです。
サグ調整、コンプレッション側減衰調整、リバウンド側減衰調整などの細かいことを抜きにして言うと、トラベル量が大きければ大きいほど路面の凹凸を舐めるように通過できるといっても間違いではありません。
3つ目「自転車がバタつくのを抑え視線を安定させるため」について
絶え間なく続く路面からの激しい衝撃や振動が、タイヤからハンドル、ペダル、サドルを通じて体に伝わってくるのですが、それを体に伝わる前にサスペンションが減衰し、タイヤを接地させバイクを自分のコントロール化に置いてくれることで、身体が激しく揺さぶられることもなく、また極度に緊張したり焦ったりすることもなく、比較的リラックスした状態でいられるため、頭のブレ、視線のブレがとても少なくなります。
視線のブレが少なくなると、次にやってくる路面の状況を先手先手で把握できるようになります。安定した視線から入手した正確な路面状況を常にバイクコントロールに反映できるため、荒れた路面でも安全に走行できるんです。
エアサスペンションの基本的なセッティング方法
マウンテンバイクのエアサスペンションフォークやリアサスペンションユニットには、サスペンションのグレードにもよりますが、いくつか調整できる機能があります。
- サグ調整
- ダンパー調整(リバウンドの減衰調整)
- ダンパー調整(コンプレッションの減衰調整)
- ダンパー調整(ハイスピード・ロースピード別のコンプレッション減衰調整)
- ロックアウト機能
など。
マウンテンバイクを購入したらまず調整しておくべきなのがサグの調整です。あとは値段に比例する形で調整できる項目が増えてゆきます。伸び側のダンパー機能の強弱を調整するリバウンド減衰調整(赤いダイヤル)、縮み側のダンパー機能の強弱を調整するコンプレッション減衰調整(青いダイヤル)などです。さらにハイグレードなものになると、サスへの入力速度の違いでコンプレッションダンパーの働き方を調整できる機能がついたものもありますが、これはペダリング時の踏み込みパワーでサスペンションが縮んでしまい漕いでいる力が無駄になるのを抑制するための機能と考えて差し支えありません。



サグ調整とは?

サグ調整とは、大きなギャップがないような路面で普通にスタンディング状態で乗車しているときに、あらかじめ沈ませておくべき量を調整することです。あらかじめ沈ませておくことで、路面の小さな凹凸でもスムーズにサスペンションがストロークし振動を吸収してくれるのです。また凹面に侵入した際には、サスが伸びることでタイヤを接地させておいてくれます。抜重して少し車体が浮いてしまった時や、コーナリングで横滑りしてしまった時などにも、フォークが伸びることでタイヤのグリップが抜けてしまうのを防いでくれたりするわけです。
コイルバネを搭載している安価なモデルの場合は、プリロードと呼ばれるダイヤルを回すことで調整ができます。エアスプリングを採用したサスペンションフォークには体重ごとの推奨エア圧の一覧がフォークに貼り付けてあったり、インナーチューブにあらかじめサグの推奨ラインが記されていたりしますので、そちらに合わせてエア圧を調整しましょう。サスペンションのエア圧の調整はタイヤ用ではなく専用の空気入れが必要です。

当店で取り扱っているTREKのマウンテンバイクの場合、サスペンションセッティング用のアプリサイトがネットで公開されています。そのサイトで、年式、モデル、体重を入力するとベースとなるエア圧やダンパー調整の数値が一瞬で表示されます。 https://suspension.trekbikes.com/jp/ja#calculator
サグの目安
メーカーによって推奨値の細かな違いこそあったりしますが、基本的にショートストロークのサスペンションは10から20%、ロングストロークのサスペンションは25%から35%程度、その中間的なサスペンションであれば20から30%の範囲と考えてほぼ差し支えありません。が、気になる方はそれぞれのメーカー推奨値をご参照ください。
- ショートストロークなら・・・10-20%程度
- ロングストロークなら・・・25-35%程度
- 中間的なストロークなら・・・20-30%程度
最近のサスペンションはインナーチューブにサグの目安が印字されているものも多いのでわかりやすいでしょう。ちなみに高速で走れるライダーほど特にフロントは硬めにセッティングする傾向にあります。
サグの調整方法
サグの調整は2名、ないし3名で行うのがよいでしょう。


- 2名でやる場合は、自転車が直立に近い角度でハンドルだけ壁に立てかけ、もう1名(そのバイクにライドする人)がスタンディング状態で乗車します。
3名でやる場合は、バイクを壁に立てかけるのではなく、1名が前輪を股に挟んでバイクを自立させて行います。左右に倒れてしまいそうであれば、ハンドルに手を添えて倒れないようにサポートしましょう。その際、ハンドルに荷重をかけないように注意してください。おそらく少しやっているうちに抑える側も乗る側も慣れてくるハズです。 - その状態で、何度かペダルに荷重をかけ意図的にサスペンションをストロークさせ、再びニュートラルなスタンディング姿勢をとります。
- そしてもう1名がどれだけ沈み込んだのかを確認します。サスペンションのインナーチューブにはゴムの輪っかがついていますので、それをインナーチューブ根本まで移動させ、そっと自転車を降ります。降りる時にサスペンションがより深くストロークしてしまうこともあるので、ゴムを移動させた段階で真横からスマホで撮影しておくのもおすすめです。
- サスペンションが伸び切った状態からその輪っかが何割程度のところになっていたのかを見れば、どの程度サグを取れているのかがわかります。
実際にライドに出かける時の体重と身につけている装備の総重量でサグを調整するのが一番理想的ではありますが、あまり神経質にならなくてもよいでしょう。先にご紹介したTREKのサスペンションセッティングアプリを使う場合は、体重だけでなく装備の重量も加味して入力すればOKです。
ダンパーとは?
サスペンションは基本的にスプリングとダンパーで構成されています。振動や衝撃が加わった時にバネが縮むことで振動や衝撃が吸収されて乗り手に伝えにくくしてくれるわけですが、スプリングだけではボヨンボヨンと弾んでしまいなかなか素早く衝撃や振動を減衰してはくれません。そのためショックアブソーバー(振動減衰装置=ダンパー)としての機能が備わっているわけです。
ダンパーには、サスペンションが縮んでから伸びる時(リバウンド時)のスピードを遅くしてくれる機能と、沈み込む時(コンプレッション時)のスピードを遅くしてくれる機能があります。知る限り市販されているほぼ全てのサスペンションで、赤いダイヤルがリバウンド側のダンパーを調整するモノ、青いダイヤルがコンプレッション側のダンパーを調整するモノとなっています。
ちなみにリバウンドダンパーはどのレベルの乗り手にとってもと重要な役割を果たしてくれますので、初心者の皆さんも、強めにかけた時のバイクの挙動と弱めにセッティングした時の挙動を実際に体験しておくといいかもしれません。
リバウンドダンパーの役割
リバウンドダンパーはサスペンションが伸びる時のスピードを遅くするという役割を担っています。もしリバウンドダンパーが効いていないと、ぎゅっと縮んで衝撃を吸収したはずの力で伸びてしまい、勢いよく伸びることによって結果的に衝撃をライダーに伝えてしまいます。また、凹面に侵入した際にもサグ分で沈んでいたはずのサスペンションが瞬時にトップアウトしてしまいます。それでは身体にもサスペンションにも優しくありません。
TREKのサスペンションカルキュレーターアプリのRebound欄に表示される指示に従い赤いダイヤルを回せば、基本的なセッティングはすぐに完了します。実際のところは速度域やライディングの巧さによってもセッティングは変わってくるものでもありますが、初心者の方や速度を競っていないファンライダーの方々もこの基本セッティングで不満を感じることはまずないでしょう。ただ、頭の片隅にほんのちょっとだけサスペンション知識を入れておくとさらにライドが楽しくなると思いますので、基礎的なことをご紹介しておきたいと思います。
リバウンドダンパーが(弱すぎる)速すぎると
特にリアサスペンションのリバウンドが速すぎると危険です。後ろからの突き上げが強くなる傾向があり、バイクを跳ねあげられえられるような感覚になりやすい傾向があります。急な傾斜の下りにある大きめの落差を降りる時に、一度ぎゅっと沈み込み衝撃を吸収してくれたはずのサスから、今度は逆に激しく跳ね上がれてしまい前転してしまうことも(笑)
コーナリング直前にしっかりと荷重を掛けて沈み込ませておいたフロントサスが、コーナー中に速く伸びてしまうと、タイヤにかけていた荷重が抜けてしまうので、グリップを失ってしまうこともあります。前輪グリップが横方向に抜けてしまった時には瞬時に伸びてくれると助かるのですが。。。
リバウンドダンパーが(強すぎる)遅すぎると
リバウンドが遅すぎると、サスペンションが伸びることによる突き上げはなくなりますが、サスペンションがニュートラルな位置に戻ってくるまでの時間が長くなってしまいます。次にやってくる衝撃を吸収する準備が整っていない状態が長引いてしまうというわけです。これがリアで起こると、どんどんとサスが沈み込んでいき、フルボトムした状態、もしくはそれに近い状態で走行することになってしまい、衝撃や振動が身体に伝わり視線がブレブレになってしまったり、バイクがバタつきグリップを失ってしまったりと、いいことありません。
ちなみにフロントサスペンションのリバウンとが遅すぎる場合はもっと悲劇的です。サスペンションが縮んだ状態になればなるほど、ヘッド角が立ったような状態に陥り、前傾もキツくなってしまいます。ダウンヒル中にこれでは、次の衝撃を吸収できなくなるどころか、普通ならなんの問題もなしに通過できるはずの木の根やちょっとした岩の出っ張りに侵入しただけで引っ掛かり前転に繋がってしまいうのです。
リバンドダンパーの適切なセッティングは?
細かな衝撃を身体でいなすのが苦手なのか、大きな衝撃を身体でいなすのが苦手なのかといった個性や、速度、荷重抜重のテクニックなど、結局のところ乗り手によって最適な調整は違ったりはするのですが、一般論として、リアの場合はリバウンドが速すぎると危険度が増し、フロントの場合はリバウンドが遅すぎると危険度が増す、というわけです。
おすすめのセッティングは、フロントは遅すぎず、リアは速すぎず…です(苦笑
試したことはありませんが、前後サスがニュートラルな状態に戻るタイミングが大きくズレているとかなり乗りにくそうですよね(笑
コンプレッションダンパーの役割
コンプレッションダンパーは、サスペンションが縮む時のスピードを遅くする役割を担っています。コンプレッションダンパーの調整機能はエントリーモデルにはほとんど搭載されていません。ミドルからハイエンドなモデルに限られています。リバウンドダンパーと比べると多くのライダーにとってあまり重要ではない機能と言えますが、あったほうがより疲れずに効率よくライドできるようになる機能とも言えるような…そんな機能です。主な役割を2つご紹介します。
フルボトムを避ける役割
一気にフルボトムしてしまうほどの衝撃の全てをスプリングに伝えないようにすることで、フルボトムを避けること。フルボトムを避けることで、サスペンションそのものとバイク自体の破損を予防し、フルボトムするほどの激しい入力でサスペンションが吸収しきれなかった大きな衝撃をなんとか粘って減衰すること。大きな落ち系のジャンプの着地時にフルボトムしてしまうと、全身でそれを受け止めなければならず、姿勢を崩すだけでなくバイクに体を叩きつけられ、ペダルから足は外れ転倒、大怪我につながる恐れがあります。さすがにそこまで激しく飛ぶことはないと思いますが(笑
ペダリング時のロスを減らす役割
ロングストロークサスペンションはどうしてもボヨンボヨンとしてしまいペダリングロスが大きく、登り下りを繰り返すトレイル、長い下りがあるけど長いペダリングセクションもあるようなコースには不向きだったのですが、コンプレッションダンパーの調整ダイヤル(青)のお陰でペダリング時の不必要なストロークを抑制することができるようになり、さまざまなコースをよりラクをして楽しめるようになったのです。
サスペンションがストロークすることを抑制するロックアウト機能が搭載されているエントリーモデルもありますが、3段階程度のコンプレッションダンパー調整機能、ゆっくりな入力の際には深くストロークしないようにできる機能(ロースピードコンプレッション)が、ミドルからハイエンドなモデルには搭載されています。
XC系からトレイル系だけでなく、エンデューロ系のライドでもペダリングセクションが多くあるので、この手の機能が搭載されたサスペンションだとさらに楽して速く走ることができるでしょう。ロックアウト機能があるだけでも随分とペダリングセクションがラクになります。
バイクと地面の接点の
セッティング
バイクと地面の接点のセッティング
タイヤの空気圧のちょっとした違いで走りは劇的に変わる
おそらく多くの人が適正空気圧の真ん中くらいにセッティングしておけばいいとか、指で押してこのくらいなら大丈夫だとか、そんなファジーなセッティングでライドに出かけているのではないかと思いますが、マウンテンバイクでダートに出かけるのなら、タイヤの空気圧を侮ってはなりません。さまざまなセッティングの違いを気軽に楽しめるだけでなく、ちょっとの違いで走りが劇的に変わります。それこそ、本当に同じタイヤなのか?と疑いたくなるほど、転がりの滑らかさの違い、コーナリング時のグリップ力の違いに驚くはず。
低圧の限界値をまずは把握しよう
ここでおすすめの適正空気圧の探し方を紹介します。それはズバリ、タイヤを変えたら、しっかりと空気圧をはかりながら低圧で走行できるそのタイヤの限界値を探ること。乗り手によって使っているタイヤも違うし、体重も違う。コーナリングの速度も違うし、体の使い方の上手い下手もある。なので、友達が適正だと思う空気圧が自分に合うとは限りません。合わないと思ったほうが賢明でしょう。

では具体的にどのように探るかですが、まずはそのタイヤの推奨最低気圧程度からトライしてみましょう。そこからもっと減らしてみるにしても増やしてみるにしても0.1気圧ずつじっくりと試しましょう。上の写真は1.4気圧に設定している様子です。ご自身が乗ってタイヤがブニブニとシワがよってヨレてしまうようだと低すぎと考えてよいでしょう。何度も調整を繰り返し、低圧の最低ラインが把握できたらひと安心です。あとはそこから好みの圧やコース、路面状況にあわせて試行錯誤をしていくのみです。
ウェットな路面を走行する場合やヘアピンコーナーが続く滑りやすい砂利の林道ダウンヒルでは低圧気味にすることでグリップを確保できます。岩場などは低圧だとリム打ちのリスクが高まるので、グリップが損なわれない範囲で高めてみるとよいでしょう。また空気圧は標高や天気によっても数値が違ってくるので、標高差のある林道ライドや炎天下のライドの際も、途中でチェックしてみるのもおすすめです。
騙されたと思って、低圧の限界値探しをやってみてください。ライドが劇的に良くなるハズです。
迷わずチューブレス化しよう

マウンテンバイクでダートライドを楽しむのなら、迷うことなくチューブレス化したいところ。転がり抵抗が減るだのなんだの細かい話がよくわからなかったとしても、低圧でのリム打ちパンクの恐怖から解放されるだけ万々歳。また、何かを踏んで小さな穴が開いてしまうようなパンクもシーラント液が自動的に塞いでくれるので、トレイルでの煩わしいチューブ交換作業から解放されます。とにかくチューブレス化は嬉しいことだらけです。
きちんと確認は必要ですが、ミドルグレード以上ならおそらく標準装備のタイヤとリムがチューブレスレディに対応しているはずです。リムとタイヤがチューブレスレディ対応であれば、専用のリムテープ、チューブレス用バルブ、シーラント液を揃えるだけでチューブレス化が可能です。お気軽にご相談ください。
タイヤインサートでライディングがさらに変わる!

チューブレス化して低圧でグリップ力をしっかり確保しながら走りたいけれども今度はリムの破損が怖い、コーナーでタイヤが外れそうで怖い…という場合は、騙されたと思ってクッシュコアなどのタイヤインサートを使ってみてください。
別のブログ記事で詳細にご紹介していますが、直進時はサイドの変形量が少なく転がりが軽く、コーナリング時もサイドがヨレることなく適切にグリップし、強い衝撃にも軽微な振動にも第3のサスペンションとしてタイヤが機能する…ワンランク、ツーランク上のスキルを身につけたような気にさせてくれるくらい劇的に走りが変わります。コーナーに思いっきり突っ込んでいけるようになるでしょう。
まとめ
長々とご紹介してきましたがいかがだったでしょうか?
手短にまとめると・・・
- バイクと身体の接点
- サスペンションのセッティング
- バイクと地面の接点
・・・を突き詰めながらライドを楽しみましょう。セッティングの違いを身体で理解できたり、いい塩梅のセッティングがわかってくると、カラダの可動域が増えたり、今までよりもスピードに対応できるようになったりし、バイクコントロールが確実によくなり、上達した気分を味わえます。すると、格段にライドが楽しくなるハズです。
だから、騙されたと思って色々いじりながらライドを楽しんでみてください!
ということです(笑
あまりライディングは上手ではありませんが、その分色々とセッティングについてアドバイスできることもあるかと思いますので、お気軽にお声がけください。