トレイルに吸い付くように走るTREK Fuel EX 29erに感動|インプレ

TREK FUEL EX

TREK Fuel EX 29erをトレイルで乗って真っ先に感じたのが、荒れた路面でも地面に吸い付くように走り前方の景色が自らズンズンと近づいてくる感覚

30年もの間、フルリジットのカンチブレーキから数々のMTBを乗り継ぎ、地球の険しさと機材の進化をお尻と腕、それこそ全身で感じてきた。その中でもこのFuel EXは「ウッヒョー! コレ 最高!」と興奮せずにはいられない衝撃のフィーリング (最新型なので性能が優れているのは当たり前ですが…)

どんな路面でもバイクが地面に吸い付くように走ると、タイヤのトラクションが常に効いているのでビビることなく右に左にせわしなく車体を寝かせて旋回するのがとても楽しいし、ギャップを超えるのも楽しい。

しっかりとブレーキを効かせることができるし、ペダリングすればペダリングしたぶんだけ確実に加速するので速度コントロールも思いのまま。ある程度の速度で走っているとホイールが慣性で勝手に回ってくれるので、前方の景色が自ら近づいてくるような感覚が楽しめる。実に楽しい。

ということでこのFuel EX 9.8 29erの感動モノの性能が一体どんなテクノロジーによって生み出されているのか紐解いてみます。

荒れたトレイルにも吸い付くように走るTREK Fuel EX 9.8 29erの秘密

これはお見事! リアサスのテクノロジー「RE:aktiv:(リアクティブ)」

唯一無二のエアサスの欠点を無きものにするテクノロジー

このTREK Fuel EX 29erは、大きなギャップに突っ込む時にはね上げられたり弾き返されたりすることもなければ、きつい登り返しや荒れた路面の長いペダリングセッションでも大きくロスすることがない。

これまでも似たような効果が得られるサスペンションユニットは存在した。

が、ペダリング効率を高めようとするとどうしても最初の大きなギャップで弾き返されたり衝撃吸収能力に不足を感じたり、路面のギャップへの追従性を高めようとするとペダリングにロスが大きくなったりしてしまうのが課題だった。

どこかで多かれ少なかれ妥協が必要なものしかなかったのだが、そんな課題をこのRE:aktiv:(リアクティブ)が解決してくれた。

このユニットなら、一般的なエアサスペンションのようにペダリング時にグニャングニャンと沈み込まずペダリングフォースをサスに吸収されず余すところなく後輪に伝えてくれる。

またそれだけでなく、突然のギャップに対しては跳ね上げられるといったありがちな煩わしさもなく、いかなる状況でもスムーズにストロークし衝撃を緩和するだけでなくタイヤを地面にしっかりと接地させておくことができる。

このFuel EXに搭載されたRE:aktiv:(リアクティブ)は、リアサスの進化を体感してきた人なら瞬時に虜になる本当に優れたテクノロジーと感じるに違いない。トレイルのラインどりで小さいことは気にせずにガンガンと漕ぎたくなる。特にトレイルライド初心者にとってかなりのメリットになるに違いない。

フォーミュラカーのテクノロジーを応用

このサスペンションは、時速300kmという速さでもタイヤを接地させつつ衝撃を緩和しなければならない世界であるF1やインディーなどのレーシングカーのみにサスペンションを供給しているPenske Racing Shocks(ペンスキーレーシングショックス)とTREK(トレック)が共同で開発、FOXによって製品化されたこれまでにない革新的なMTB用サスペンション。

ペンスキーレーシングショックスは、量産品や廉価版を作らず、一切の妥協を許さず優れた製品をレースシーンにのみ提供している特殊なサスペンションメーカー。詳しくはこちらのウェブサイトをご覧になってみて欲しい。

こちらの動画でRE:aktiv:(リアクティブ)の凄さをより詳細に知ることができます。

ブレーキがサスの動きを邪魔しない「ABP(Active Braking Pivot)」

ABPは何世代も前に開発されており決して目新しい技術ではないが、製品化当時は下りでのバイクコントロールのスキルが上達したのではないかと錯覚するくらい衝撃的な性能向上だった。

ブレーキは、路面の凸凹を吸収してタイヤを地面に接地させてバイクを常にコントロールできるようにしておくという役割を果たすサスペンションの働きの邪魔をしてしまうものだった。

ブレーキング中にリアサスペンションの動きが硬くなりバイクが跳ね上がりがちになるという欠点が一般的なリアサスにはあるのだ。

一般的なタイプだと、砂っぽいトレイルや岩が多いトレイル、根っこが無数に露出したトレイルなど、あらゆるトレイルでの下りコーナーで、滑ったり、跳ねたりして瞬間的にバイクコントロールが効かなくなる。そうなるとバランスを崩し焦ったりしてコントロールを失し転倒なんてことにも。

そんな状況下でもリアサスペンションに本来の働きをさせるべくブレーキが極力サスペンションに影響しないように開発されたのがこのTREKが特許を有するABP。ブレーキング下でもリアサスが跳ねることなく凹凸を吸収するのでバイクコントロールを失わずに済む。

ABP搭載バイクは「あれ!?上手くなった?」と感じるほどの性能だ。ラインどりに神経質にならなくても、それこそラインどりが下手でも、多少のことなら機材が確実にカバーしてくれる。

こちらの動画ABP(Active Braking Pivot)の凄さを詳細に知ることができます。

前方の景色に吸い寄せられるようにガーーーッと進む圧倒的な推進力の29er

29erホイールは、ある程度速度が出てホイールに慣性が働くと嘘のようにペダリングが軽くなり速度を維持してくれる。それはもうホントテンションが上がるほど面白いように進む。

慣性を働かせるにはホイールをしっかりと回転させる必要があるので、26インチホイール時代のようにトルクでグイグイと回す感覚ではなくやや軽めのギアでケイデンスを高めて回す方が向いていると言える。

そうやってある程度回転させると本当にガーーーーっと進み始めるから面白い。

アップダウンを繰り返すようなコースでは、下りでのブレーキングを早めに終えて加速させると勢いで勝手に登って行く。それがまた楽しい。

慣性で面白いように進む29erバイクはまた、少々の障害物ならあまり気にすることなく乗り越えて進んで行く。車輪径が大きい分障害物への入斜角度が浅くなるので障害物を乗り越えるのが簡単になるからだ。

ホイールリフトといった前後のバイクコントロールが下手でも、多少のギャップなら気にすることなく勢いで突っ込める。

接地面積が大きくてコントロール性を失わない29er

コーナリング

コーナリングでは、径が大きい分幅広のハンドルでしっかりとテコの力を利用して車体を寝かしつけなける必要があるが、右に左に車体を寝かしつける操作もこのFuel EX 29erの魅力の一つと言える。

ブレーキングに影響されないサスペンション(ABP)が素直にタイヤを接地させる上に29erタイヤは接地面積も大きいため、突然スリップしてグリップを損なうようなこともなく、自分のコントロールの下、勢いで曲がっていくのもこのバイクの面白さだ。

出始めた頃の29erとは比較にならないシャキッとしたコーナリングにも驚かされた。これは、これまで一般的だったエンド幅よりも幅広いBoostハブ(リア:148mm / フロント:110mm)と、スルーアクスル(リア:15mm : フロント12mm)、それに24mmとワイドな幅のリムのお陰でもある。

下手でビビリなはずなのにしっかりと操っている(操れている)感覚は本当に乗っていて楽しい。

登り

ペダリングのテクニックが必要な滑りやすいオフロードの急な登りもまた、後輪のトラクションを一定に保つ働きがあるリアサスとこの接地面積が大きなタイヤのおかげで、少々雑に立ち漕ぎをしても空転することなくグイグイと登って行く。実に楽なバイクだ。

ホイール径の違いについてはこちらの動画も参考になります。

吸い付くように路面の変化に対応するしなやかなチューブレスレディタイヤ

チューブがないことからしなやかで路面追従性が高く、低圧で使用できるため乗り心地もよくリム打ちパンクもしにくいため、MTBの世界では1999年頃のマビックUSTチューブレスリムとそれに対応するタイヤの誕生から一気に一般化してきたチューブレスタイヤ。

最近ではシーラント剤と密閉性を高める専用のリムテープを使用することでチューブレスになるチューブレスレディと呼ばれるタイヤが一般的。

チューブレスレディのシーラントの入れ方についてはこちらで詳しく紹介されています。

チューブレスレディは機密性を高めるためのリムテープとシーラント剤を別途使用することで機密性を保つので、タイヤとリムの機密性を製品段階で担保しなければならないUSTチューブレスよりも、比較的安価でしなやかで軽量なチューブレスタイヤを作ることができるためか、広がりを見せている。

今回インプレッションしたFuel EX 29erのホイール&タイヤはシーラントを入れてチューブレス化し、推奨空気圧の下限よりやや下回る空気圧(1気圧台半ばから後半)で乗ってみた。しなやかさの面でUSTより圧倒的にチューブレスレディに軍配が上がる。

TREK Fuel EX 29erのその他の特徴

安心してライドできるヘッドパーツ

ヘッドパーツ、ヘッドスペーサー、ステムにknock blockと呼ばれる独自の構造を採用したことで、転倒時など急にハンドルがグルンッと回ってしまった時にフォークのショルダーがダウンチューブに激突しなくなった。激突する手前で回転が止まる構造になったのだ。

ほとんどのバイクはダウンチューブをカーブさせることで激突を回避できてはいるのだが、このノックブロックは何気に嬉しい。ノックブロックを採用したことでダウンチューブを直線にデザインすることができるようになり、ヘッド周辺からダウンチューブの剛性を高めることに繋がったのだ。

また、ハンドルが反対を向いてしまうほど回転しなくなったお陰で、安心してアウターケーブルやブレーキホースの長さを必要最低限の長さにカットできるようになったのも嬉しいポイントだ。

手元レバーで上げ下げ自在のシートポスト

ボントレガーのドロップラインというシートポストは、自転車を降りることなくライディング中に手元レバーで簡単に上げ下げができる。激しいダウンヒル時にはサドルを低くして重心位置と足つき性をよくし、登りやペダリングセッションではサドルを高くして漕ぎやすくできるのが嬉しい。

レバーとポストを繋ぐケーブルはフレームに内蔵される。ケーブルを通すのは少々の手間ではあるが、見た目がスッキリするのは有り難い。

まとめ

TREK Fuel EX 29erの特徴:

  • リアサスのペダリングロスがない
  • リアのブレーキングがサスペンションの働きを邪魔しない
  • ホイールに慣性が働くと前方の景色が自ら近づいてくるように進む
  • 多少のギャップはものともしない29erならではの優れた走破性
  • 接地面積が広くしなやかなタイヤは荒れたトレイルも吸い付くように走る
  • タイヤが地面から離れたり滑ったりしないから常にバイクをコントロールできる

Fuel EXシリーズは比較的リーズナブルなモデルもあるが初心者が購入するとなると決して安いバイクではない。が、決してレーサーだけにしか操ることができない気難しいレーシングカーの類のものではない。

むしろこのバイクに備わっている性能は初心者や街乗りがメインのホビーライダーをトレイルで存分に楽しませてくれるに違いない。

たまにしかトレイルライドに出かけられなかったとしても、そのたまのトレイルライドが最高に楽しいライドになるに違いない。一瞬にしてストレスを発散できる。

こんなところ↓でFuel EXで遊べたら最高♪

稲城にできたMTBコース「スマイルバイクパーク」は想像通り最高に楽しい場所だった

2017.06.13

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