ディスクブレーキ時代のホイール選び新常識と、失敗なしのおすすめロードホイール

2021年8月11日

ネットの検索上位に出てくるロードバイクのホイール選びに関する記事は、日付こそ新しいものの、内容が古い!と感じてしまうこの頃。自分たちはどうなのかと見てみると、バイクプラスのブログでもホイール選びに関する記事は10年前から変わっていませんでした(ホントすみません)。新商品の紹介ブログは随時更新されていますが、テクノロジーの進化とトレンドにあった「選び方の基準」は新しいものが必要だと思い、改めて書き起こすことにしました。

「ホイールを選ぶ基準」に影響する近年の大きな変化

素材やタイヤの種類、リムハイト(外周部にある枠の高さ)など、これからホイールをアップグレードしようとお考えの方なら「どれが自分に合うのか」と、気になるポイントがたくさんあると思いますが、近年、スポーツバイクの世界では、今までの常識を覆すような大きな変化があったことを忘れてはいけません。

ディスクブレーキ化の大波がキタ〜!

そうです。ロードバイクでもディスクブレーキが当たり前になったのです。5年以上前から、来る来るとは言っていたものの、全面的に移行していた自転車メーカーは少数派でした。新ジャンルであるかのように「ディスクロード」といった言葉も生まれました。ところが2019〜2020年あたりを境に、大半のメーカーがリムブレーキモデルを廃止したのです。価格重視のエントリーモデルには、リムブレーキが残っているところもありますが、2021年はもはや「ロードバイクといえばディスクブレーキ」がニューノーマルです。

 

ロードバイクにはディスクブレーキ ロードバイクにディスクブレーキはもう当たり前!

ディスクブレーキがホイール選びにどう関係しているのか?…気になりますよね。ハブの互換性なんて後回しでいいくらいの重要なパラダイムシフトなので、後半にまとめます。ディスクブレーキ化の波は、ホイール選びの基準だけでなく、足回り全般の進化にも多大な影響を与えているので、まずはそこを掘り下げます。

ワイドタイヤもキタ〜!

700X23Cというのがロードバイク用タイヤの王道だった(ヒルクライムでは21を選ぶ人もいた)時代には、軽さと、細さに由来する摩擦抵抗の少なさがロードタイヤの真骨頂で、空気圧もカンカンに入れて、細くすることはあっても太くするなんて発想はありませんでした。ところが「転がり抵抗」というキーワードとともに、タイヤは路面の凹凸に合わせて変形する時に「太くてしなやかな方がエネルギー損失が少ない」という研究結果が広く知られるようになり、数年で、重量と転がり抵抗のベストバランスを標榜する24〜25がロードタイヤの主役になりました。そこへディスクブレーキ化の波が押し寄せると、高まった制動力を受け止めるグリップ性能も加味して26〜28が採用されることになります。今では、ロングライド向きと言われるロードバイクには700X32C以上なんてことも珍しくありません。

 

aeolus pro5 disc リム外幅 ワイドタイヤにあわせてワイドリム化が進んでいる

そこまでタイヤサイズが変わってくると、それを取り付ける土台となるホイールも幅広にしないとバランスが取れません。そこで、ワイドタイヤの流行に合わせて、ホイール側もワイドリム化が進むことになりました。「何ミリからがワイドなのか」と言われると答えに困りますが、使用するタイヤサイズにあったリム幅を選ぶこと、そのサイズのタイヤ+リムがフレームに入るのかを確認してください(700X23Cを想定したフレームには、最新のホイールやワイドタイヤが入らないこともあります。古いリムブレーキ車ならブレーキアーチとの干渉も要チェックです)。

 

エアロ性能も進化!

空気抵抗を減らすためにディープリム(リムハイトが高いホイール)が有効なのは昔から知られていましたが、CFD(流体のコンピュータシミュレーション)技術の進歩や、メーカーによる風洞実験の積極利用もあって、空気抵抗を減らす方法はリムハイト一択ではなくなりました。前面投影面積(風に当たる面積)を小さくすれば空気抵抗は減りますが、ワイドタイヤ化の波はそれを許しません。しかし、断面形状を最適化することで、幅広にもかかわらず、従来よりも低いリムハイトでより速いホイールを作ることができるようになったのです。

 

風洞実験

形状が見直されることで、同じ性能をより少ない材料で引き出すことができ、ホイールの命とも言えるリムの軽量化にもつながりました。また、ディスクブレーキ化によってリムのブレーキ面が必要なくなったため、設計の自由度があがり、タイヤ込みでの理想的な翼断面形状に近づけることができるようになってきています。それまでの「軽さまあまあ、空力特性もそこそこ」くらいの「オールラウンド」のレベルを飛躍的に向上させ、「めっちゃ軽いし超エアロ」なオールラウンドホイールが台頭しています。

チューブレス キタ〜‼︎

来そうで来なかったロードチューブレスの波。それがやっと来たんです。パンクのしにくさと乗り心地の良さで、注目されていたロードチューブレスですが、以前はホイールから買いなおさないといけなくて「ちょっとチューブレス試したい」という人にはハードルが高過ぎました。チューブが無いから軽いなんて前評判でしたが、気密性を高めるため、タイヤの内側にチューブと同じブチルゴムの層を設けたことで、イマイチ軽いと言い切れない部分もありました。タイヤとリムの相性もありますが、一般的に装着が難しく、お店の人でも「ちょっとやだな〜」と思っていたことが普及を阻む要因であったことも今だから言っちゃいます。

そこで、チューブレスレディ(気密性を保つために液体シーラントを使用するタイプのチューブレス )の方に各メーカーがシフトします。タイヤの選択肢が増えるのと同時に、チューブレスレディホイールが完成車にも採用され始めると、今までのハードルは一気に解消し、チューブなしの恩恵を多くの人が享受できるようになりました。シーラントで気密性を確保する構造のため、タイヤとリムの嵌め合いに少し余裕ができたのと、ワイドタイヤ+ワイドリムの流れが追い風となり、タイヤ装着もだいぶ楽になりました。良くできたチューブレスレディタイヤは、転がり抵抗の低さ、パンクのしにくさ、乗り心地のしなやかさなど、チューブラータイヤのお株を奪ってしまうレベルになっています。シーラントの働きで、万が一小さな穴が空いても自己修復してくれるのは、さらなるアドバンテージ。もちろん、従来通り、チューブを入れて使うこともできます。ディスクブレーキ化によってリム付近の熱の問題が解消されたので、ラテックスチューブファンにはチューブドで使う楽しみが増えました。

 

aeolus rsl37 チューブレス 専用リムテープ、チューブレスバルブ、液体シーラントで気密性を確保

タイヤを接着するチューブラー用のリムは、形状的に単純でホイールの重量的には有利ですが、チューブレスレディの手軽さとトラブルフリーで高性能なところは、ライダーのレベルを問わず嬉しいポイントですよね。ごく普通のクリンチャーホイールは、ディスクブレーキのついた最近のロードバイクのアップグレードとしてはもう…ちょっとね。

最新トレンドを踏まえたホイール選びの基準

近年の大きな変化を踏まえ、ここ数年でディスクブレーキ搭載のロードバイクを購入された方にむけたホイールの選び方を、ズバッとご紹介します。リムブレーキのロードバイクをお持ちの方にも参考になる情報を載せていますので、ぜひお読みください。

リム素材

リムの素材にはアルミか、カーボン、またはそのハイブリッドがあります。アルミは十分に軽く、加工しやすく、価格も安いという特性があり、長らくリム素材のトップランナーでした。カーボンが出てくると、重量面での優位性は揺らぎ始めますが、持ち前の熱耐性と熱伝導性(放熱性)、切削や化学反応による表面加工があいまって、アルミリムでのブレーキングは、ド安定でコントロールのしやすさも特筆すべきものがあります。

 

トレック カーボン 生涯保証 カーボンリムの成形には膨大な手作業が欠かせない

一方のカーボンリムは、最近でこそブレーキング性能に不満を感じたり、熱による変形の心配をする必要も減りましたが、初期には多くの課題があり、デメリットをカバーする乗り方ができる上級者向きの製品でした。今でも、下りが苦手でブレーキをかけっぱなしになってしまう方にはアルミの方が安心かな、と思います。何より、ブレーキシューを直接リム面に当てて制動するリムブレーキの宿命ゆえ消耗品的な位置付けなのに、カーボンリムはかなり高価で、せっかく買ったのに出番を絞らざるを得ない”決戦用”ホイールになってしまったという方も多いのではないでしょうか?(実際にはブレーキ面にグラスファイバーを積層するなどして、耐摩耗性をあげる工夫がなされているので、ブレーキシューに異物が挟まったりしなければ、ガリガリ減っていくことはありません。)

ハイブリッドは、フルカーボンでは難しかったクリンチャータイヤ向きのリム形状と強度の問題を簡単に解決する方法として、多くのメーカーに採用され、アルミリムのブレーキ性能とカーボンの軽量性を活かしたエアロホイールとして発売されていました。薄く成形されたアルミリムをカーボンシートで補強した軽量ホイールもありましたね。リムの外側にあるブレーキ面と、タイヤがはまるビードシートは、ほぼ同じ位置にあるので、外側にも内側にも形状の制約があると、カーボンで強度を確保するのは難しかったんです。アルミならそこは余裕でクリア。でも、アルミとカーボンは接着してあるので、安いアルミ部分だけ交換というわけには行かず、やはり「リムは消耗品」と言われると二の足を踏むことになりがちでした。

リムブレーキ全盛の時代には、どの素材も一長一短だったので、かなり慎重にホイール選びをしていたと思います。それが、ディスクブレーキを前提に考えると、一気に霧が晴れたようになるんです。下の囲みを見てください!

ディスクブレーキがカーボンホイールにもたらすメリット

  • ブレーキがリムを攻撃しないから、日常使いでもホイールが長持ち
  • ブレーキ熱によるリム破損やラテックスチューブの溶解がないから、初級者からフルカーボンが扱える
  • ブレーキ面が要らない→リムの外側には形状の制約がなくなる→強度が確保しやすく軽量化にも貢献
  • ブレーキ面が要らない→リムの外側には形状の制約がなくなる→理想的なエアロ形状ができる!
  • ブレーキ面が要らない→コーティングもできるし縁いっぱいまでデカールが貼れる→キレイでカッコいい
  • カーボンホイールに限らず、ブレーキ性能ならリムよりディスクの方が上!

アルミリムでもハイエンドホイールには独特のカッチリ感があって、「良いものはイイ!」と思わせてくれる満足感があります。最上位モデルを選んでも、そんなに高くない(ちょっと麻痺気味です)のも魅力です。また、エントリー完成車についてくるタフでヘビーなホイールからのアップグレードなら、一気にカーボンまでいかなくても走りの差を体感できるはずです。でも、ディスク全盛の今、フルカーボンを積極的に買わない理由はありません!(カーボンなら何でもあり、ということでもないので、そこは要注意)

リムの種類(タイヤとの関係)

上の項で書き尽くしてしまった感がありますので、ここはシンプルに。ホイールのアップグレードという観点からは二択です。

  • 絶対的な重量を重視するならチューブラーリム
  • 扱いやすさとトータルバランスならチューブレス(チューブレスレディ)リム
チューブラータイヤの断面とリムの接着面
チューブラーはパンクに対応するためタイヤごと持ち運ぶ

クリンチャーが悪いわけではありません。チューブ交換だって素早くできますし、タイヤも安い練習用から高級なレース用まで選び放題です。でも、ホイールを買い換えるなら、あえてチューブレス非対応のクリンチャーを選ぶ理由は少ないと思います。そもそも選択肢が少なくなってますしね。

リムハイト

 

理想的には3セット欲しい

走る環境や走り方に応じて選ぶのが普通なので、ヒルクライムなら軽さ重視のロープロファイル、平地巡航やトライアスロンではディープリムといった傾向はありますが、唯一の正解というのはありません。複数セットを持って使い分けられるのが理想ですが、家族の目は冷ややかになりがちです。なので1セット選ぶなら、オールラウンドなホイールということになります。今のフルカーボンオールラウンドホイールなら、軽量ヒルクライムホイールにも引けを取らない重量でありながら、ちょっと前のエアロホイールより速く、横風に悩まされることもない万能選手だと言えます。2021年現在、リムハイト40ミリ前後がこのカテゴリーの主流ですが、各メーカーとも軽さと扱いやすさを狙って、ちょっとずつ低く、同時によりエアロになっている傾向があります。

 

2つの曲線が交差するリムハイトが現実的

価格

高性能な自転車ホイールの値段は、普通の人には理解されないほど高いです。長年、自転車業界に身を置いて、金銭感覚もおかしくなっている私でさえ、冷静になるとビビります。でも、中途半端が一番良くないので、ビビった時こそ大胆に決断しましょう。

失敗なし!オススメのロードホイール

トレックのコンセプトストアだからボントレガー推しだと思われがちですが、そんな「しがらみ」みたいな物だけで自転車の最重要パーツをオススメしたりはしません。自信を持ってオススメできるのは性能やクオリティーが備わっているからです。しかも、アフターサービスがマジですごい!カーボンホイールで「製造上の瑕疵、素材の不良に対して生涯保証」とか「事故でもなんでも破損に対して2年間は無償で修理または交換」とか「30日満足保証」なんてつけられるのはBONTRAGERくらいではないでしょうか?

バイクプラスなら、試乗用ホイールも用意しているので、購入前にフィーリングを確かめられて、さらに安心。買ってからも「ホイール購入支援サービス」でタイヤやスプロケの取り付け、変速調整、ローター取り付けとブレーキ調整、振れ取りなどの技術サポートが1年間無料で受けられます。ロードホイールを買う時に「私、失敗しないので」と自信を持って言いたい方は、バイクプラスでBONTRAGERホイールをゲットしてください。

 

では、本題のおすすめホイールです。

Bontrager Aeolus RSL 37 TLR Disc Road Wheel

これで満足できなければ、ホイール選びは地獄の長旅になること確定の最新、最上位モデル。フルカーボン、チューブレスレディのディスクブレーキ用ロードホイールで前後わずか1325g。リムハイト37ミリがもたらすエアロ性能と、ワイドリム(外幅28ミリ、内幅21ミリ)の安定感を備えた真のオールラウンダー。

 

aeolus rsl 37 ボントレガー ¥323,950(税込)

Bontrager Aeolus Pro 37 TLR Disc Road Wheel

「ビビった時こそ大胆に」とは言ったものの、冷静な判断は時に家庭崩壊を未然に防ぐ。最上位のRSLと全く同じ空力特性をもちながら、カーボンレイアップの変更とハブのスペック違いによる、たった180gの重量差(前後1505gは、このリムハイトとしては十分軽い!)。浮いたお金で家族全員に、高級店で黒毛和牛A5ランクのステーキを180gずつ御馳走できる。その笑顔、プライスレス!

 

Aeolus Pro 37 ¥202,400(税込)

 


所沢店の中の様子をガラス越しに撮影した写真

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